みなさんは、シルクと聞いてどういったものを想像するでしょうか?光沢がありツルツルしているもの、光沢がなくザラザラとフシがあるもの、もしくはその中間くらい、程よく光沢があり柔らかく感じるものでしょうか。
一口にシルクと言っても、細かく分類していくと正絹(しょうけん)、絹紡糸(けんぼうし)、絹紬糸(けんちゅうし)など様々な種類があります。さらに、技術の発達により絹紡糸と絹紬糸の間の新しい糸が出来たり(ショートファイバーと呼ばれています)、色がついているものは色の付け方でも特徴があります。その時代時代でシルクにも流行があり、仕上げ方も違ってきます。
そこで今回は、たくさんあるシルクの種類と特徴を、数回にわけて解説していきたいと思います。実際に、シルクふぁみりぃではどの商品に使用しているのかもご紹介いたしますので、想像しながら読み進めてみてくださいね。今回は、第一回目ということで一番オーソドックスで一番古くから作られている”正絹”についてご紹介いたします。
シルクの王道・正絹(フィラメント)
正絹は、一番古くから作られているだけあって作り方は単純明快です。丸まってる繭を茹でて、ほぐして箸でつまんで巻いていきます。現代では流石に手作業ではないですが、ほんの100年前ぐらい前までは手作業で紡いでいました。今でも手作業でシルクを紡いでいるという工房は少ないですが、存在します。昔からずっと愛用され続けてきたシルクそのままの糸が”正絹”です。
正絹の呼び方と注意点
正絹は一般的に”しょうけん”と呼ばれますが、特に決まりなどはありません。シルクのみで作られた混ぜ物をしていない糸であれば、全て正絹と呼ばれることもあります。
そのため、混乱を避けるために「フィラメント」や「生糸(きいと)」または「練糸(ねりいと)」と呼ばれたりもします。
正絹を使った肌着等が欲しい!けど、どんなシルクを使ってるかよくわからない!?という場合は、お店の人にシルクのどんな糸を使用しているか聞いてみるといいでしょう。
シルクふぁみりぃの正絹
シルクふぁみりぃでも正絹を使った製品を作っています。ただ一般的な正絹は柔らかくキレイに染め上げるため、正絹を覆っているセリシンと呼ばれるノリのようなタンパク質をほぼ、すべて落とします。
シルクふぁみりぃでは、あえてこの工程を飛ばしています。シルクふぁみりぃの半分は主婦のもったいない精神で作られているので、セリシンを落としてしまうことが出来ず、セリシンをほぼつけたままのシルクにしてもらいました。
ですので、厳密にいうとシルクふぁみりぃの正絹は正絹ではありません。生糸に近いです。そのため、他の正絹を知ってる方にはシルクふぁみりぃの正絹製品はかなり固く感じられるかと思います。
セリシンをつけたままの製品を作り始めて、もう10年以上になります。「固いけど何故かつけてると気持ちがいい。」というお客様のお声に助けられながら作り続けてきました。ここ数年でセリシンの研究が進み、セリシンは「細胞の活性化」「メラニンの抑制」「抗酸化機能」に優れていると言われるようになり、注目を集めています。
諏訪繭シリーズ
シルクふぁみりぃで一番古くから扱っている正絹の製品です。日本でとれた繭を長野県で糸にして奈良県で編み上げ、縫製しています。昔ながらの手繰りでおばあちゃんが糸にしている非常に希少な糸です。セリシンがほぼ全て残っていて、かなり固いです。作れる製品も限られており、ざっくりとした筒状に編み上げることしか出来ないため腹巻などに使用しています。
アンゼリカシリーズ
シルクふぁみりぃの中では、比較的新しい生地です。中国産の繭をベトナム等で糸にし、和歌山・兵庫・奈良などで編み上げ縫製をしています。セリシンを残した状態ですが、セリシンが落ちにくく柔らかくする作り方をしているため諏訪繭よりは柔らかいです。作れる製品も幅が広く、色々な製品を今後も作っていく予定です。
まとめ
一番オーソドックスなシルクですが、一番扱いが難しく価格も一番高いため、どうしても商品が高価になりがちです。しかし、他のシルクと比較すると一番長持ちしやすく、セリシンを落としていないのでシルクの持つ機能性も一番高くなっています。少々割高ですが、長い目で見れば一番オトク!かもしれません。
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